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ご家族の体験談

『ユーイング肉腫との出会い』

山口県男子  小学6年から中学3年までの3年間

2003年 秋 右足首に鶏卵大の腫れ物ができる
11月 徳山中央病院小児科で小児がん*と診断される(横紋筋肉腫が疑われる)
   専門病院で診てもらうために上京
12月 大塚の癌研究所付属病院(以下癌研病院)整形外科へ入院
  (針生検*で滑膜肉腫と診断された後、詳細な検査で軟部ユーイング肉腫と判明)
   1月にかけて、術前の化療*2回
2004年 2月9日 初回の手術(摘除および再建*)
    術後、リハビリと化療1回

4月 中学校入学式の前日に退院
   以後、医療連携*により山口大学医学部附属病院小児科で術後の化療*を続ける
  (1週間程度の短期入院が3回)
12月 術後の化療終了(全6回、夏休み・冬休みは癌研病院で)
2005年 4月 右膝裏に転位*再発
    新しくなった有明の癌研病院へ入院
5月25日 2回目の手術(摘出のみ)
6月 聖路加国際病院小児科へ転院(内科的治療へ重心が移る)
7月 外泊許可中、隅田川下流16橋(最上流の白髭橋を除く)を車椅子で回る
9月 超大量化学療法併用幹細胞末梢血移植* 
10月 退院

2006年 2月 やせ始める
4月 同じ右膝裏に再々発が見つかる(山大病院で)
4月26日 3回目の手術(右脚膝上20センチから切断)
5月 末 からだ中の転移が検査にかかるようになる
6月 国立がんセンター中央病院小児科へ転院
8月 治験*を意識した化療始まる
11月2日 最後の化療(結果的にこれ以降の治療を断念したことに)
   3日 ボランティア団体メイク・ア・ウィッシュの支援で友人上京
12月2日 最後の言葉「ありがとう」「ぼくは往く」を残し、眠りにつく
   3日 午前03:40、眠りのうちに静かに心停止
   午前中、標本提供のための病理解剖
   4日 飛行機で遺体が帰ってくる
   6日 葬儀
2007年 3月 中学校卒業式
以下は*の説明
○小児がん 15歳以下の子どもにできる悪性腫瘍の総称。
 腫瘍(はれもの)は、大きく良性(転位しないもの)と悪性(転位するもの)に分けられる。良性であれば、切除してしまえばそれ以上の問題はない。
 専門的に、非上皮性の細胞に発生する悪性腫瘍を「肉腫」といい、上皮性細胞起源の「癌腫(漢字表記)」と区別される。癌腫と肉腫をまとめて呼ぶときには「がん」とひらかなで表記することになっており、かたかなのガンは正式な表記としてはまちがい。
 大人のがん(癌腫がふつう)と小児がん(肉腫が中心)とは大きく性質が異なり、別のものととらえられているが、詳しいことははまだ解明されていないのが実情。15歳以下の子どもの死因としては、交通事故を含む不慮の事故に続いて第2位となる。(15歳~19歳では事故・自殺に続いて第3位。)
 小児がんのうち最も多いのは白血病で、小児がん全体の約3分の1を占める。手術のできない白血病の治療のために抗がん剤の開発が飛躍的に進んだ。一般に小児がんには抗がん剤の効果が高く、現在ではかなりの割合(症例によっては8割を超える)が治り得るものになっている。
 最終的にユーイング肉腫と診断されたが、まれな症例であり、日本全国でも年間数十人程度という。

○針生検 
「がん」は優に200を超えるさまざまな症例の総称で、正確な診断には直接がん細胞を採取しての検査(生検)が不可欠。必要に応じて遺伝子レベルでのチェックまでされる。患部に針を刺して行うのが針生検。
○術前の化療 

手術前の化学療法。抗がん剤が効くタイプのがんであれば、手術に先だって抗がん剤を投与し、病巣の縮小をみてから手術にかかるのが一般。

○再建手術
がんの手術は、転移の誘発を避けるため、がん病巣内にメスを入れないのが大前提。筋肉や皮膚を摘除した場合は再建が必要となる。左肩から「肩胛骨の一部・筋肉・皮膚」をまとめて採ってきて移植するという大がかりな再建をした。
○転移 
原発部から離れたがん細胞が他の場所に定着して増殖すること。大人のがんではリンパ系をたどっての転移がほとんどであるのに対し、小児がんでは血管系による転移が多く、その場合肺への転移が中心となる。

○医療連携 
複数の医療機関で一貫した治療を受ける方法。紹介状を書いてもらって「転院」するよりは密な情報交換がされる。もっとも、各病院で検査機器や検査方法に違いがあり、カルテの書式も異なるため、理想とはほど遠いのが日本の現状。

○術後の化療 
手術後の化学療法。検査にかからなかった転移巣や、残ってしまった(かもしれない)がん細胞をたたくのが主目的。1回数時間~10日で、2週間~2ヶ月の間隔(からだの回復期間)を取りつつ、5~10回程度行われる。

○超大量化学療法 
からだが自力で回復できる限度を超えて、抗がん剤を大量に投与する治療。免疫力がゼロになるので無菌室に入るのが前提。事前に採取・保存した本人の骨髄か、あるいは他人から提供された骨髄を移植することで免疫系を元に戻す。

○治験 未承認の治療の効果をはかる臨床テスト。一般には新しい治療法が正式に認可されるのに先立つ形で行われるが、日本での認可が遅れている治療をするための緊急手段として利用される場合(医師主導の治験)もある。当然ながら一般病院で行われることはなく、治験のできる病院は限られる。
治験を希望したが、条件が満たされず、正式には治験にのっていない。適応外申請という形でイリノテカン投与
肉腫について

肉腫に関する
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小児がん視察団構想と世界的協力体制の確立
研究開発治療開発のために

小児がん治療
厚生労働省への意見提出

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